Android Bazaar and Conference 2013 Autumnに行ってみて

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3月に行われたSpringに続き開催された”Android Bazaar and Conference Autumn”に行ってきた。前回は確か初の2日間開催だったけど,今回は(得に開催場所の大学が)春休みではないからか,おとなしく1日のみだった。

場所は東京は北千住。東京電機大学の千住キャンパスで朝10時から,最後のトラックが18時25分までという日程。詳しくはこちら(ABC2013a公式サイト)。

ついでにWills3のABC2013sの時のエントリもこちら

前回と同じく,講演を聴いたトラックを順番に見ていこうと思う。

10:25~12:15 多様性のその先に@基調講演

Next Billion—Androidへの期待と技術革新の新しい地平@丸山不二夫氏

[foogallery id=”1624″] ABC2013sと同様,”Next Billion”についての講演。世界全体における携帯電話の普及率から,スマホの普及率にまで話が及ぶ。特にAndroidはiOSに比べて安価ゆえ世界的に普及しているのは皆知るところで。今年時点でグローバルAndroidシェアが79%に対して,日本ではiOSが方を並べているし,そもそも日本でのスマホ普及率は30%弱と低い。その理由について丸山さんは「日本の携帯のレベルが高すぎた」ことを指摘する。iモード,eZwebなど,ガラケー自体からネット接続できたのは(日本に住んでいるとわからないけど)すごいことだったらしい。来年は,Androidだけでも世界9億台が出荷される見込みらしい。特に見込まれているのは「Next Billion」というのは,前回も話していたことだね。

ビッグデータとサイバーセキュリティ@谷脇康彦氏

[foogallery id=”1631″] 内閣審議官の谷脇さん。なんだかすごいお偉い肩書きかと思えば,すっごく講演が面白いというか,慣れているというか。よくよく言われていることだけど,Appleの垂直経営に代表されるように,すでに「モノ」だけが売れる時代は終わった。というのも,ウン十万で得られていた液晶テレビ業界の凋落が如く,ハード製品はコモディティ化することで価格が下がっていく。だからそれだけで利益を出すのは土台無理な話だ……という説明はとても腑に落ちた。BIGDATAと絡んだオープンデータ,職人技を継承するための「知のデジタル化」,パーソナルデータとプライバシーなど,よく話題になるテーマを,政府という行政の側から聴けたのはとても貴重なこと。特にパーソナルデータについては個人情報全てを秘匿する必要はないだろう,という流れになってきているだろうし,政府は年内にロードマップの策定を終わらせるつもりらしい。

ドコモクラウドの取り組み@大野友義氏

ドコモの人。ドコモクラウドの話。谷脇さんが興味深かったから,そしてドコモユーザではないので,私にとってはあんまり面白くなかった。ごめんなさい。

インテル・ソフトウェア戦略 ― すべてのソフトウェア開発者へ@土岐英秋氏

Intelの人。新プロセッサの話。正直難しい。「すごいプロセッサファミリーが出たよ!」というそういう話。

12:15〜13:00バザール

前回の反省を活かせず,結局昼休みの時間しかバザールへは行けず。どんな企業・団体が出店していたかは公式サイトをご覧いただくとして,ここでは印象深かったものだけ触れようと思う。

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JCROMさんのサイトはこちら。ROMを書き換えてスマホのテーマを変えてしまうというもの。

デモ機には艦これなど流行りの画像テーマがたくさん!(写真撮るの忘れた)
ちょうど開発用になっているARROWSがあるので,時間のあるときにJCROMあててみたい。めっちゃ楽しそう。Androidの未来が広がる感じ。

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Android開発者なら絶対お世話になるサイト,TechBooster。そのノウハウがつまった電子書籍が発売された。それで,TechBoosterのブースでは,「電子書籍の対面販売」なるものが行われていたww

ABCに呼ばれている日本Android会の重鎮たちがことごとく執筆陣に並んでいるのは圧巻。その場では買わなかったけど,結局家に着いてから買ってしまった。

13:00~13:40 こんなAndroidデバイスに期待!@木暮祐一[学生部コーディネート]

[foogallery id=”1637″] Androidの会には「学生部」というものがある。最近2,3ヶ月のうちにできた団体のようで,興味があったのでバザールにいた人に話を聞いた。「学生部」自体は学生をターゲットにしたAndroidイベントを開くことを活動としていて,直近だと11月末に勉強会を開催してくれるらしい。「初心者でも大丈夫ですか?」と伺ったらOKと言っていただいたので,ぜひとも参加したい。それで,そういうイベント開催も面白そうだったら,いっそ学生部に入りたい。前回のABCではAndroidの会ロボット部というところと知り合って,1度勉強会にもお邪魔した(その時のエントリはこちら)が,残念ながら私の力不足でついていけず,それ以来伺っていない。「初心者OK」はいつまでも甘んじていてはいけないけど,敷居が低いのはとてもありがたい。前置きが長くなったけど,このトラックはその学生部が開いたもので,スマホに限らずガジェクラで有名らしい木暮先生の講演。「最近のスマホはこれは! というものがないよね」という話。うんうん。つまるところ原因はキャリア主導の日本のスマホ事情にあるんだろう。先生は世界各国に行って変態端末を集めて回るのがご趣味なようで,そのコレクションのうちいくつかを見せていただいた。

韓国製のAndroid子守ロボット,中華製の変態ハードモデル……。どれも,日本では「売れない」と判断されて発売されなさそうな機種ばかり。お話の中で特に,「そのうち1人で端末を複数持つようになる」という話が面白かった。すでにAndroid初期勢の2年契約更新は過ぎたこのタイミングで,スマホ2台持ちも珍しくなくなりつつある。タブレットとの併用勢も,私を含めて大勢いるだろう。ガラケーと違ってスマホはSIMを刺さなくても使える部分が多いし,フリーWiFiが充実してきている昨今,町中で使うこともそこまで不都合ではない。ということで,例えばLINE用端末,電話用端末……と複数を使い分けることになるわけだ。単なるアプリで分けるようにはならないと思うが,すでにアプリの枠を超えてコミュニケーションプラットフォームとして存在感を増してきたLINEについては,十分その可能性と資格はある。

なんだか,目から鱗が落ちたような講演だった。面白し。

13:55~14:35 理論で分かる,デザインのファーストステップ@あんざいゆき&小太刀御禄

[foogallery id=”1641″] 私の中でABCといえばこの人! のあんざいさん。それと上述の”Effective Android”でデザインの章を執筆した小太刀御録さんという方の対談形式のトラック。Effective Androidを購入してわかったけど,ここで使ってたスライドは大部分この本からの引用だった。今にしてみれば,正直本の内容をなぞっただけだったのだが,載っていない部分もあったので少し振り返ってみる。

  • 何のため,どのユーザのために存在するのかを考えながらデザインする(老人向けは大きく,とか)。自分向けの個人アプリの場合は,自分が喜ぶデザインで良し。
  • 視線の流れが重要。gridのときは視線を意図的に切るための線を入れたりするのも良い。
  • (主にListViewにおいて)コンテンツごとの量が違う場合は,サイズはできるだけ揃えるためにペースなどでごまかす(うろ覚え)
  • 無駄な余白は,アイコンなど視覚的要素で埋める
  • 背景に使う写真は,Tumblerとかで探すのも良い。
  • デザインには「拡大・縮小」に耐えられるという事が重要
  • メニューバーは視認性が悪いので,選択肢の迷子を出さないようにする
  • デザインには自分の勝ちパターンがある。得意な色の組み合わせを持とう。
  • 有彩色は「赤:熱血」のような個性がある。使ってもいいけど,無彩色を挟むだけでも個性を弱められるので有効活用しよう。
  • ベースカラーが無彩色の場合は,明度を変えてみて視認性を上げる。

「デザイン」ってのは体系的にわからないものだし,興味はあるんだけどなかなか学ぶ機会はないし。そもそも意識的に「学ぶ」ものだろうかね,デザインは。ちょくちょく,自分が惹きつけられたデザインのポスターなどに気を配っておこう。

でも,とりあえず私の課題はコーディングの方が急務だなあ。

14:50~15:30 レビューサイトさん,メディアさんぶっちゃけ会~秋の陣~@アプリマーケティング研究所&TABLOID&Andronavi

[foogallery id=”1645″] いつもお世話になっております。ABCSpringよりも参加団体はめっきり減ってしまって,少しさみしかった。結構ダラダラした雰囲気で進んでいって,残念だったな。「レビューサイトが考えるいいアプリとはなんですか?」という質問に対しては,

  • 既存の機能に1つ足したものがいい。
  • チュートリアルがなくても楽しめるものがいい。
  • 使用者が受け身になれるものがいい。サーキュレーションアプリとか。
  • 人に教えたくなるアプリ。アプリをインストールするきっかけは,今でもリアルでの口コミが主流。

ということでした。

15:45~16:25 GoogleGlass~ウェアラブル時代の到来に向けて@有山圭三

“ok glass.”こんな言葉がいつか町中で聴けるようになるんだろうね。GoogleGlassの起動音声はまだ英語にしか対応してない。

生GoogleGlass,私は初めて見た。思ってたよりもとってもスリム。操作はタッチ……というよりも,メガネの弦部分を前後にスライドして行うらしい。

写真撮影のコマンドは”take a picture.”。ビデオは”record a video.”。”v”の発音がなかなか日本人には難しくて,撮影成功した動画のはじめには「やったー撮れた!」というセリフが必ず入るんだとかwwwwwシュールwwwww

Glass自体の紹介以外には,未公開のGlass用APIであるGlassDevelopKitとか,Glasswareとかの紹介など。電波法に違反するから日本ではネットに繋げないんだけど,現時点でできるのは,

  • Google検索
  • 写真・動画撮影
  • 経路検索
  • SNS送信(スマホ)連携
  • TEL(スマホ連携)
  • Glassware

らしい。正式発表が待ち遠しい。買うかどうかはわからないけど,いつかは皆GlassにWatchにPhoneだろうか。胸が熱いね。

16:40~17:20 スマートデバイスはまだまだ新しいシーンを拓く?そのためにMetaMoJiが取り組んでいること@亀井正樹

[foogallery id=”1650″] Android手書き入力の代名詞,mazecの開発元MetaMoJiの講演。企業も講演ってするんだね。まず,スマホの登場でOutputの方法は画期的に向上したけれど,Inputの方法はケータイ以来あまり変わっていない。特にソフトウェアキーボードはブラインドには向かず,壁がある。タイピングは前提知識というか,練習がいる。そういうのを改善するために「手書き入力」を開発したよ,という話。今MetaMoJiが提供しているAndroidアプリは,

  • 7 note with mazec(手書き入力エディタ)
  • mazec2(手書き入力IME)
  • Note Anytime(手書きnote taking)
  • Share Anytime(スライドシェア:開発中:公開間近)

のラインナップ。聴講者の中にはNote Anytimeで大学のノートを取っているという人もいて,登壇者さんとっても嬉しそうだった。

Note Anytimeは少し試してみたけど,確かに使いやすい。Share Anytimeはとても楽しみ。

17:35~18:15 BeagleBone BlackでAndroidの下回りを学ぼう@きんねこ

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マイコンボードBeagleBone Blackの話。同Rasberry Piを盛大にdisった内容ときんねこさんは自負しているそうwwwwRasPiもArduinoも,マイコンは私はまだまだ。。。

まとめ

このエントリを書くのに一週間もかかってしまった。しかしAndroidに出会えたことで,このような機会に参加することができて,幸せであることを実感した一日だった。

しかしなんとなくだけど,Springの方がデベロッパ向けだった気がするなあ(特にあんざいさんの公演はSpringのものを今,聴きたい)。次回のSpringは秋葉原開催のようで,規模がすごそう。

いつになったら懇親会に出られるようになるか分からないけど,頑張って精進していきたいと思います。以上お読みいただき,ありがとうございました。