最近,思考を言葉にする機会を失しているのではないかという焦燥がある。「名状しがたい」という形容詞の代わりに「なんというか〇〇だよね」と言うのは却って趣があっていいのだが,解像度の低さから言い表す言葉に思い当たりなく「なんというか〇〇だよね」と表現することは,世界を捉える窓を無意識下で閉じるような自殺行為に思えて気まずい。最近のLLM然り「十分に発達した文章生成は思考と見分けがつかない」のであって,かつ私たちはその文章に(思考を飛び越えて)人格のキャラを見出してしまうのだから,自分の考えを過不足なく表現したいなと願うことは自分本位・他人本位の両面から価値ありと思ってもいいのではないか。
――みたいなことを書こうとしただけなのに,つい上記のようにまどろっこしい文になってしまうのはまさに私の「個性」(良し悪しには目を瞑って)であって,書いたものを読み返すと,録音した自分の声を聞いたときよろしく自分の汚い面を眼前に突きつけられるようで落ち着かないのだが,それを押しても「自分の感情を素直に言ってみる(書いてみる)」ことに強烈な正の感情を抱くらしい自意識を最近自覚したので,取り繕うのは諦めた。
閑話休題;そんなわけで,せっかくお金と時間をかけて自分のサイトを用意しているのだから活用してみる。以前ほど熱心にTwitterにポストすることもなくなってしまったしね。目標は月一くらいで,その時点での自己スナップショットを取ろうと思う。
また話が脇に逸れるが,ここ5年ほど「連用日記」というものを続けている。1ページに数年分の記載ができて,当日の日記を書いていると「1年前の今日」も読めるというもので,元来飽きっぽい私がこの連用日記は飽きもせず継続している。自分の記録,というものにエモーショナルな感情を抱くのかもしれない。というか「エモーショナルな感情」とはこれ如何に。
今ブログを見直したらなんと2023年は一度も書いていなかった(なんてこったい)ので,2023年も軽く触れる。
2023年
仕事|研究
シカゴ駐在の最終年。2年間血反吐を吐きながら仕事をしていたが,なんとか最後に滑り込みで良い成果を出せた。自画自賛極まれりだが,異国の地で知り合いもいない中,踏ん張りきったこの頑張りはせめて自分は認めてあげたいと思う。
会社でプレスも打ってもらった:
KDDI総合研究所とイリノイ大学シカゴ校(以下、UIC)Bing Liu教授の研究グループとの共同研究において、継続学習…
取材も受けた:
KDDI総合研究所と米University of Illinois at Chicago(UIC)が機械学習のトップ会…
論文はこちら:
Existing research on task incremental learning in continual …
発表は7月末のハワイ。最高のロケーションだった。
Bye-bye Chicago
2年の駐在を終えて2023年8月末に帰国。終わってしまえば早いというのは,終わってから言えることだけど。死ぬ間際,自分に誇れる人生経験になったのは間違いない。
2年通ったイリノイ大学シカゴ校(UIC; University of Illinois at Chicago):
シカゴで一番好きな場所のひとつ。シカゴ川に架かる橋の上から:
モノとして残っているシカゴの思い出はそんなに無いのだが,唯一,シカゴで買った財布は大変気に入っていて,よほどのことがない限りはずっと使いたいと思っている。死ぬまで一緒にエイジングしような。
最近の悩みは,これに見合うコインケースに巡り会わないこと。無理して探すつもりはなく,運命的な出会いを期待したい。
キャンプ
冬の間は毎月のように,長年の友人Iくんに誘ってもらって冬キャンに出かけた。彼の持っている温度計の表示可能な最低気温が-5℃なのだが,余裕で計測不可になったりして死ぬかと思った。同時に,ひたすら温かいものを飲みながらさみーさみー言っているのが死ぬほど楽しかった。
2024年
文部科学大臣表彰
大学院生の頃Yahoo研究所でインターンをしていた時に関わった技術が商用化されているのだが,それが表彰された。
ちゃんとした表彰を受けるのは初めてかもしれない。光栄なことだ:
LINEヤフーからもプレスを出してもらった:
業績は「未知の状況にも対応可能な高精度混雑予測と商用システム開発」…
蛇足だが,この研究成果のお陰でドイツで学会発表できたし,そこでIくんとも会ったのだった。つくづくも人生はきっかけひとつだ。うまくいかないことも多いけど,所々でものすごく恵まれている私の人生も私らしくて,嫌いじゃない。ありがたいことだ。
富士いち
「〇〇いち」と聞いてピンとくる方がどれだけいるか知らないが,「サイクリングで〇〇を1周する」の意である(富士いちの他には琵琶いち,伊豆いち,などある)。今回は読んで字のごとく,富士山1周である(富士山東側の御殿場スタート,反時計回り回って富士山南西側の富士宮で1泊のコース)。
これもIくんと一緒に行ってきた(鬼体力のIくんと違って私は平均以下のスタミナしかないので待たせまくってしまってすまなかった;これ以降は毎日ランニングして次に備えている)。
走行距離120km,獲得標高1800mというバケモノコースで,山道の峠越えは生きた心地がしなかったが,その分,山下りはスリル込みで最高だった。ただし,日暮れ後の山道を40km/hで駆け下りているときは常に1秒先に死を感じていた。
スーパー英語レッスン
社内で「ビジネス英語を超頑張りたい人募集」という企画(会社負担で鬼のようなスケジュールで英語レッスンを受ける)があったので,応募したところ通った。
シカゴ住みの間で苦労をした分だけの英語慣れはしたし日常英語なら困らないけれど,まだまだこれが強みと言い切れるレベルではなく,せっかくなのでダメ押ししようと自分の背中を押した。今後数カ月は普通の仕事も繁忙期の予感なので死にそう。でも,できないことができるようになることが人生の目的の一つと思っているので,やりきりたい。
浜松出張
浜松で国内学会があり,5月末に1週間出張してきた。さっぱりな浜松餃子もおいしいがやはり鰻である。5000円は優しくないが,旅行時の食費はケチってはならないというのを家訓にしたい。そんなこと言ってるから体重が減らないんだ。
[…] それでも世界はループ! 2024年6月に思っていること […]