Happy Hacking Keyboard Lite2は沼の入口

どうもukaznilです。
段々仕事にも慣れてきて,それなりに充実した日々を送っています。

ところで唐突で恐縮ですが,職場のPCのキーボードを新調しました。
職場のPCはWindowsを使っています。それはまぁいいのですが,日本の会社なので当然の如くキーボードは日本語配列です。JIS配列とも言いますね。

日本語配列? なんのことだ? 日本語をタイプするんだから「日本語配列」で当たり前だろ? そう思われたかもしれません。
でも,「日本語を入力する」=「日本語配列」とは限らないのがキーボードの面白いところ。

今回の記事のテーマはそんな感じで,「キーボードの配列」に関するちょっとニッチな話です。

結論から言うと,Happy Hacking Keyboardという高級キーボード(の廉価版)を買いました。
これがキーボード沼の始まりだと,この時の私は知る由もない……。

JIS配列とUS配列

日本で主に使われるキーボード配列は「JIS配列」と「US配列」の2つです。
読んで字の如しですが,前者「JIS配列」は「日本語入力」に特化したキー配列が特徴です。
メーカーによって多少の違いはありますが,だいたい以下のようなレイアウトになっていることが多いです(Windows機の場合)。

Wikipediaより引用)

見慣れた形ですよね。
JIS配列の特徴としては,

  • 「半角/全角」の切替キーがある
  • 「変換」「無変換」キーがある
  • 「Enter」キーが2行に渡るほどデカい

などが挙げられます。普段は意識しないかもしれませんが,こうやって見ると結構特殊な配列をしています。特にEnterなんて,誰が最初に考えたんでしょうね……?

反して,米国では「US配列」というものがスタンダードに使われます。名前の通り,アルファベットだけ打てればいいや,というキーボードなので,当然JIS配列とは大きく違ってきます。

Wikipediaより引用)

主な相違点としては,

  • スペースキーが長い
  • 「Enter」キーが横に長い

などです(JIS配列のところに書いたものの裏返しですが)。
また,記号の配置もJIS配列とは異なっていますね(“@”とか“:”とかです)。

たかがキー配列ですが,されどキー配列。
タッチタイピングが当然視される最近のPCスキルにおいて「どれだけ打ちやすいか」はそのまま入力効率に直結しますから,どちらの配列にせよキー配列を指に覚え込ませなければいけません。
で,「JIS配列」と「US配列」のどちらを採用するか,に関しては当然ながらどちらが優れているというわけではなく,どちらにも一長一短があります。それを加味して,個人の好みや,普段の入力対象となる文字列と相談して決めていくものですね。

[aside type=”normal”] とはいえ,日本で売られているメーカ製の(ノート)PCやキーボードは圧倒的にJIS配列が多いので,なかなかUS配列を目にする事は少ないかもしれません。
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US配列は特にアルファベットの入力に適しているキー配列です。そりゃあ,海の向こうの人たちはアルファベットしか打ちませんからね。JIS配列と比較して,以下の点が大きな違いとして挙げられることが多いです。

  • 記号の配列が直感的である
    • コロン(:)とセミコロン(;)が同じキー
    • シングルクォーテーション(’’)とダブルクォーテーション(””)が同じキー
  • Enterがホームポジションから近い
    • “J”から右に5つ右のキーがEnter(JISだと6つ隣なので,小指が届きにくい)
  • ホームポジションがキーボードの中心に位置する
    • JIS配列だと右側にキーが集中しているので,中央から微妙に左に寄っていてアンバランスに見えます
[aside type=”normal”]「ホームポジション」とは
タイピングするときには両手の人差し指を左右それぞれ“F”と“J”に置いて指一本ずつ一つのキーを割り当てる,という考え方です。
たとえば”E”は左手中指,”O”は右手薬指で打つのが基本です。
最初は戸惑うかもしれませんが,慣れると格段にタイピング速度が向上します。
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特に,プログラミングなどでアルファベットを多用する人にとっては,US配列の方が直感的でストレスレスに入力できる,という触れ込みですね。

私も3年くらい前にmacを購入したとき,思い切ってUS配列にしてみたのですが,なかなか打ちやすくて今さらJIS配列には戻れません。会社のPCでもよく入力を間違えます(主に記号)。
あえてUS配列にした理由は,勿論上に書いたような理由もありますけど,結局はJIS配列よりもスタイリッシュと感じたからですね。案外理由なんてそんなもんです。

HHKB入門

ようやっと本題に入ります。
結局,私はUS配列が一番効率よく入力ができるので,US配列の外部キーボードを購入して持参することにしました。

とはいえ,普段はノートPCを使っているので外付けキーボードなんて買ったこともありません。ノートPCのキーボード特有の,底が浅くてペチペチとした感触がそれなりに気に入っていました。

何日かかけて調べたのですが,Happy Hacking Keyboard(以下HHKBといいます)というシリーズのキーボードが良さそうです。「ハッピーハッキング」という名称に愛を感じますね。

[aside type=”warning”] ちなみによく誤解される単語ではありますが,「ハッカー」は決して「悪い人」を指す言葉ではありません。
「普通のコンピュータ利用者なら知らずに済むようなシステムやネットワークの内部の働きに通じ、その上を行くのを喜びとする人。」のように,ある意味で敬意を示す名詞だったのですが……,俗に言う「他人のコンピュータに侵入して悪事を働く人」のことは「クラッカー」と言いますね。
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なんだか旧態依然としたサイトですが,このキーボード,発売から早20年。キーボードとしてはこの上ないロングセラーを叩き出しています。
HHKB(や,他の俗に言う「高級キーボード」)の特徴は,「静電容量無接点」と言われるキースイッチ構造。一般的に普及している「メンブレン構造」や「メカニカル構造」では為し得ない耐久性とタッチ感を創出できることがコアなファンを掴んで離しません。

[aside type=”normal”] 各構造の違いについては以下のサイトが詳しく解説していました。気になる方は是非。
ITジョー

PC用キーボードを選定するに当たって、キーボードの構造を知っておいた方がいいと思います。構造によって特徴が異なるので、自…

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「耐久性」といえば,20年も愛されているHHKBのコンセプトが素晴らしいです。東大名誉教授・和田英一さんの言葉だそう。

アメリカ西部のカウボーイたちは,馬が死ぬと馬はそこに残していくが,どんなに砂漠を歩こうとも,鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり,鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。
いまやパソコンは消耗品であり,キーボードは大切な,生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。

消費社会の今にあって,「キーボードは消耗品だ」と言わないことに熱い信念を感じますね。

そんなHHKBですが,今現在いくつかのモデルが販売されています。

  • HHKB Lite2(¥6,000)
    • HHKBシリーズの廉価版。残念ながら静電容量無接点方式ではなく,一般的なメンブレン構造ですが,HHKBシリーズ独特のキー配列を再現したモデル。有線接続。
  • HHKB Professional 2(¥23,000)
    • HHKBのスタンダードモデル(静電容量無接点方式)。有線接続。間違いなく「高級キーボード」ですが,キーボード沼にハマる人はみんな買っていますw
  • HHKB Professional Type-S(¥27,500)
    • 上記のHHKB Professional 2を改良して,より滑らかなタッチ・静音化を実現したモデル。事実上の最上位モデルです。有線接続。
  • HHKB Professional BT(¥27,500)
    • HHKB Professional 2をBluetooth化したもの。打鍵感はType-Sではなくて,Professional 2と同等。BT接続!!

上位モデルも試してみたかったのですが,さすがに3万円のキーボードをホイホイ買えるほどの財力もないので,様子見でLite2を購入しました。
これを巷では「安物買いの銭失い」と言うんだそうです。

色は白と黒の2色展開(Professional 2以上のモデルは「黒」ではなく「墨」モデルと言います)。私は黒のUS配列のモデルを購入しました。

箱の中には,本体に加えて,上にも書いたHHKBのコンセプトメッセージと,20周年記念シールが同封されています。どこに貼ろうか迷っちゃうな。

白か黒で迷ったけど,こうやって見ると黒にして良かったと思います。

会社のWindows用に購入したHHKBですが,自宅でMacに接続しても何も問題なく入力できています。
私はずっとノートPCでタイピングしてきて,キーストロークの深いキーボードは今まで寧ろ忌避していたんですが,慣れてくるとこんなに疲れにくいのかとびっくりです。
ノートPCの浅いキーボードの時は,「つい触れちゃった」レベルで入力されていたのでミスタイプが多かったのですが,HHKBにしてからはそれが恐ろしく減っています。それでいて,打ち漏らすこともないのでいい案配ですね。

今回購入したHHKBはLite2という廉価版なので,正直本家のHHKBには遠く及ばない打鍵感などだとは理解しています。
ただ,それでもノートPCのうっすいキーボードに慣れてしまった私にとって,この変化はまさにパラダイムシフト。それを実感できただけでも,HHKBというキーボード沼に足を踏み入れた価値はあったのかなと思います。

そんな戯言は2万以上御布施してから言えって? 確かに。

Lite2でも十分満足しているのですが,やっぱり「上」があると思うと我慢できなくなるのがガジェットの嬉しいところでもあり,罪なところ。
気付いたら財布から3諭吉くらい消えているかもしれませんが,とりあえずのHHKBファーストインプレッションはこのあたりにしておきましょう。

おわりに

USキーボードはいいぞ。