2019/12/18読了。
なんかスゲータイトルの本読んでんなと思われるかもしれないが,実は人から借りた本である。
貸してくれたのは職場の同僚・Tさん。初フルマラソンしてみてでマラソンを勧めてくれたスポーツマンその人である。
私は本屋で本を選ぶとき,ラノベで言うところのいわゆる「ジャケ買い」ならぬ「タイトル買い」を信条とすることが多い。ぶっちゃけ,タイトルが面白い本は中身も面白いと思っている節がある(異論は認める)。
今回紹介するこの本のなんというかゴリゴリの,それこそ筋肉質なタイトルの本は正直あまり選ばないのだが……この本を読んで考えを改めた。
この本,とっても面白い。
なぜ君は筋トレをしていないのか?
端的にこれを滔々と述べてくれる本である。
著者はTwitterにて筋肉界隈で有名(らしい)@Testosteroneさん。人生を変えてくれた筋トレというものの効能を日本いや世界中に広げるという夢を持った人だ。端的に言ってしまえば「筋トレコンサル」のようなものだろうか。
曰く,筋トレの効能はたくさんある。いくつかピックアップすると,
- 健康になる
- 自己管理能力が身につく
- ストレスが発散できる
- 自尊心が満たされる
- メンタル向上
- 人生が楽しくなる
などだ。後半の言葉だけ見るとだいぶ眉唾かもしれないが,筋トレは数値や視覚的に成果が見やすい。何キロ持ち上げられるようになったとか,腕の周りが太くなったとか。そんな継続的な自己肯定生活を送っていたら気づけばメンタルはもはや鋼——いやカチカチの筋肉の如し。ちょっとやそっとのことじゃ,自分を責めすぎて削られることがなくなるのだとか。
夢のような話だが,話を聞く感じ本当のことらしい。
作中には「実録マンガ」があり,それぞれ人生における障害を筋トレをきっかけに乗り越えられた人たちの武勇伝が収録されている。この「きっかけ」というのが大事で,あくまで筋トレは間接的に豊かな人生をサポートしてくれる。直接的ではないからこそ,万人に役立つし期待しすぎないことが正のループを回すのだろう。
「超」科学的な理由
タイトルにこうある。「科学的」とはなんのことか。
実はこの本,スポーツ生理学の研究分野の知見が随所に登場するのが面白いところ。
例えば「筋トレをすると背が伸びない」なんて噂を聞いたことがあるだろうが,著者らの知る限り,研究としてその知見は示されていないのだそうだ。このように,研究論文を大量に読んで体系立ってまとめることを「サーベイ」というが,この本はそのようなサーベイに立脚しているのがすごい。
特にスポーツ生理学など,人体に関する事例研究では複数の論文の主張することが真っ向から対立することが多いイメージがある。機械学習でもそういう節はあるが,特に「人間」を相手取った研究の難しさ&面白さはその矛盾性にあるのだろう。
「筋トレ」にまつわる通説や俗説を,科学的な根拠と事例を交えて説明してくれるので納得感がある。だから,ちょっとやってみようか,という気にもなる。
ちょうど年の瀬でもあることだし,そろそろ来年の目標を立ててもよい頃かもしれない。
ということで,私も来年とは言わず2019年の内から筋トレを始めてみようと思った。
言ってしまえば私はこの本がきっかけで筋トレをしようとしているわけで,人の行動を変えさせるような本というのはなかなか稀である。
(実はこの本を貸してくれた同僚のTさん自身が最近筋トレにハマっているようで,私のきっかけとしては本よりも彼がいることの影響の方が大きいのだが,まぁそれは置いておいて)
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