2018/09/24読了。
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読み終わってから1ヶ月,最近色々とバタバタしていてつい後回しにしてしまう悪い癖が出た。
さて,この本は人間関係に対する処方箋。非常にタメになったので紹介したい。
この本のポイントは以下の3点。
人は「自己欺瞞」の中にいるせいで不幸になる
この本のタイトル『自分の小さな「箱」から脱出する方法』にもある通り,主題は「箱」と呼ばれるものに対する説明と,それへの対応策を考えるものである。
「箱」はいわゆる自己欺瞞のことで,「箱の中にいる」状態は自分のことを棚に上げ他人を論う状態。反して「箱の外にいる」とは自己欺瞞から解き放たれ真摯な世界にいる状態を指す。言うまでもなく後者が理想的だが,なかなかどうして私たちは前者に陥りがちである。
本書の第1章では,人間関係の問題がこの「箱」=自己欺瞞の問題に帰着できることを論ずる。人は「箱」に入ることで円滑なコミュニケーションができなくなり,蟻地獄から抜け出せなくなり疲弊する。
まずは現状を知ろうという章であり,読者自身の状況に照らし合わせながら読むと納得感があると思う。「あーこれ自分も同じような状況だな」と思えたならば,きっとこの本を読んだら解決の糸口が掴めるはずと期待していい。
自己正当化はするな
第1章を踏まえ,第2章では「なぜ人は箱の中に入るか?」というテーマで話が進む。
そもそも人間関係なんて良いに越したことはないは当たり前なのに,なぜ人間関係は悪くなるのか。そこに人間心理の決定的な欠陥があると思うのだが,本章ではその端緒を開くことができる。
曰く,「箱」=自己欺瞞のきっかけにして諸悪の根源は「自己正当化」である。
例えばAに対していつもヒドい対応するBがいたとして,またヒドい対応を受けたとして,「箱」の中にいるAはどう感じるか? もう少し言えば,「Bにどうなってほしい」と願うのか。
恐らく自覚のある人もいるだろうが,こういう時にはつい「Bはヒドいヤツだ」と思い,心の裏で(またヒドい対応をしてきたらまた文句を言えるな)と感じがちである。
つまり,「箱」は本来の目的である「良好な人間関係」とは真逆のことを願わせてしまう呪縛である。
そんなわけで,「自己正当化はするな」と本書は言う。
「だって相手がヒドい対応をするものだから……」,そう思ってしまうようではまだまだ。
そう感じる読者は,まだまだ成長の余地があるということだ。
自分の非を疑え
最終章・第3章では,「ではどうやって『箱』から出るか?」がテーマ。第2章までで自己欺瞞の問題は十分に理解できるが,じゃあ何がきっかけでそこから解放されるのか。
大事なのはたったひとつだ。
[aside type=”boader”]
自分に非はないか,自分は「箱」に入っていないか? と自分を疑うこと。
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つまり第2章まで納得できていれば,敢えて第3章をじっくり読む必要もない。
私も結構な癇癪持ちなのですぐイライラするのだが,この本を読んで(少し?)目が覚めた。負の感情が昂ぶってきたときに,「それって『箱』じゃない?」とか「自分のことを棚に上げるなよ」と自分に対して呟くことの,なんと重要なことか。一時期話題になったアンガーコントロールと通じる,社会生活を営む上で大事なことが学べる本であった。
しかし27歳になるまで,こういう「人間としての基本」をじっくり考えたこともなく生きてきてしまったことにやるせなさを感じる。
やはり本は先生だ。
教育者,世の中のお母さん・お父さんにもにも是非読んでもらいたいね。
「箱」の外の人間が増えたら世の中はもっと明るくなるのになぁ。
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