読了『人生は攻略できる』

2019/04/29読了。
GWはたくさん本を読むぞと意気込んでいたけど,もうGWも半分が終わってしまった(白目)。

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はじめに

こういうタイトルの本が好きなので買ってみた。
「はじめに」を読んでいると次のような記述がある。

この「需要と供給の法則」によって,若い君たちの「市場価値」はこれからどんどん高くなっていく。人手不足が深刻化する日本では,大学を卒業すればほぼ全員が就職できるし,優秀な若者を大企業が奪い合うようになった。いまですらそうなのだから,君が社会に出る頃にはさらに価値が上がって,なんでも好きな仕事を選べるようになるだろう。

「君が社会に出る頃には」。たぶん,高校生か大学生向けの本なのだろうね。
それにしてもバラ色の未来を描きすぎでは……と思った私。でもまぁ本を読み終えてみると,確かに人生(の一部)は確かに「攻略」できるかもしれないな,という気分になっている。

色々と章立てされているが,気になったところを抜粋して紹介してみる。

お金が大事なのは,お金から自由になれるから

この本,単純に「働き方」に関する本かと思っていたら,意外と金融に関する基礎知識も扱っている。
基本的な内容なのでそこまで目新しくはないんだけど,「お金が大事なのは,お金から自由になれるから」という言葉にはハッとさせられた。お金のことが頭をいっぱいにしてしまうと,他のことが何も手につかなくなってしまう。お金のために人生を生きているわけではないのだから,これはまさにこれ以上無い本末転倒になる。

宝くじは「愚か者に課せられた税金」

著者が心に留めている3つの言葉がある。

  1. 宝くじは買わない
  2. マイカーもマイホームもいらない
  3. ウマい話は君のところにはぜったい来ない

1.について。
有名な話かもしれないが,宝くじは収益金の約半分が地方自治体の収入となり,ギャンブルとしての期待値(還元率)は約50%とものすごく低い。所得税や住民税のように全員に課せられるものと違って,宝くじを買う人は自ら進んで税金を払っていることになるーーだから「愚か者に課せられた税金」。経済合理的に行動することが大事だ(ただしそれが一番難しくて,だからこそ行動経済学なんていう学問が成立するのだけれど)。

2.について。
私もマイカーもマイホームも特に欲しくないのでよくわかる(そもそも運転できんし……)。どんどんモノはシェアの時代になる。逆に,モノ売りの産業はこれからが大変だ。

3.について。
投資の鉄則は「リスク分散」。不動産投資の話をたまに聞くけども,額が額なのでポートフォリオ内のリスクが不動産に偏りすぎるという大きな欠点がある(それさえ許容できればリターンが大きいというのも理解できる)。「お金が大事なのは,お金から自由になれるから」にも書いたが,投資のことで心を囚われるのは馬鹿らしいので,このあたりは十分吟味した上で方向性を決める必要がある。特に不動産に関しては金額が大きいからかトラブルも多いらしいし,気をつけないとね。
本書では「自分に自信があると『特別な自分には特別なチャンスが来て当たり前』と思ってしまう」と書いてあって,なるほどナァと思った。そんな著者は「ウマい話は君のところにはぜったい来ない。ウマい話はすべて無視すればいいのだ」と(極論)を述べているが,それくらいの心持ちで臨んでも足りないということはない。
勿論,時にはリスクを取ることも大事ではあるんだけど……。

クリエイティブクラス/マックジョブの仕事とは

本書の中では仕事を大別して2つ,小別して3つにわけている。
詳しい説明は本書に譲るけど,的を射た分類だと思うし,「自分が何を仕事に求めるのか」を鑑みて職業選択する一つの助けになると思った。

  • クリエイティブクラス(組織に属する必要がない)
    • クリエイター
      【拡張可能な仕事】成功するのは難しい。
    • スペシャリスト
      【拡張不可能な仕事】時給は高いが責任も大きい。
  • マックジョブ(組織に属する必要がある)
    • バックオフィス
      【拡張不可能な仕事】マニュアル化されていて責任はない。

ひとつ面白い指摘がある。
「『お仕事は?』と訊かれると,ほとんどの日本人は(たとえば)『トヨタです』と会社名を答える」というのだ。外国では,これは「トヨタの工場で自動車の組み立てをしている」という意味になるそうだ。
なぜなら,仕事と会社が一体化しているのはバックオフィスだけだから。クリエイティブクラスの人は,自分の専門が職業だと思っている。
だから「職業は何?」と訊いたら「会計士です」と答えるし,会社名は二の次だ。
日本でもたとえば医者に関しては「(職業は)内科医です」と答えるだろうし,単に日本における「クリエイティブクラス」の範囲が狭いだけなのかもしれないけど。

おわりに

他にも幸福を形作る資本には「金融資本」「人的資本」「社会資本」がある——なんて話もあり,紹介したいのだが時間の都合で断念。。。
読んでみて,やはり対象年齢はおよそ20歳前後の大学生くらいかな,という感じを受けたが面白いことには変わりない。
直近に活かせる「方法論」を語るものではないが,泰然と世の中を見詰めるための一つの武器になる本だと思った。