読了『明日クビになっても大丈夫!』

2019/02/02読了。
[amazonjs asin=”B075F14LZ4″ locale=”JP” title=”明日クビになっても大丈夫! (幻冬舎単行本)”] 高校の頃からラノベの積読を生業にしてきたと言っても過言ではない私だが,最近はラノベ以外の本でも積読がひどい。
個人的な習慣として,読み終わった本は本棚に背差し・未読の本は平積みにして手に取りやすいようにしているのだが,息をするように中古の本を買いまくったせいで,収納が追っつかなくなって床に積む始末である。
それ故最近はAmazonのカートに突っ込んだところで深呼吸とともにページを閉じるようにしているのだが,ただ哀しいかな,あと「購入」の1クリックでいとも簡単に崩れ落ちるこの背水の陣を,古人に倣い「臭いものに蓋」と言えないこともない(違う)。

特に最近は本を読めていなくて(積読が解消できなくて)まずいなぁと思っていたので,今日の午前中に読めそうな本はなかったかなーと漁ってみたらこの本を見つけた。前に行っていた(最近ご無沙汰している)読書会の主宰者がお勧めしていたので買ったような覚えがある。200ページと分量も少ないのでパッと読める。


さて,この本は4章構成になっているのだが,1章はまったく面白くない。あまりにつまらなくて途中で読むのを辞めようと思ったほどである。
けれど,この本を読むためにファミレスに来たのにもう帰るの……? という浅ましい考えのお陰でなんとか次の章に進んだ。
すると体感時間が一気に短くなるのを感じた。あとは最後のページまであっという間であった。

消費と生産を意識する

「消費の趣味」と「生産の趣味」という分け方ができる。これは趣味の種類による話ではなくて,アウトプットの有無の話だ。
本を読んだときに「あー面白かったなー」で終わるのが「消費」。だからといって悪い趣味というわけではないけど,これで終わりだ。
でも,その後に感想をブログに書いたり友達に積極的に広めたりすれば話は別だ。もしかしたらブログが山のようなPVを誇って広告収入になるかもしれないし,同じ趣味の人と繋がれるかもしれない。少し打算的かもしれないけど,「消費の趣味」が「生産の趣味」へと変わり得るのだ。

大事なのはイチにもニにも,消費して満足して終わりではなく何かしらの「アウトプット」を世に対して続けること
私事で恐縮だが,最近は目の前のタスクを盲目的に消化することに終始していて,全体の中でのアウトプットを怠っていたせいで研究クオリティが下がっていることを痛感したばかりだったので耳が(目が)痛い。

趣味が生産型に変わることの副作用はたくさんある。

まず一つに,趣味に対する姿勢が変わる。「私を見ている人がいる」という事実は,何事にも代えがたく人の背中を押すはずだ。私のこのブログも,友達からたまに「見てるよ」と言ってもらえることもあってありがたくも続けていられる。”We are lonely, but not alone.”とは私が大好きな『宇宙兄弟』の中で出てくるセリフだけど,それを実感する。

次に,情報は発信する場所にこそ集まってくる。これも趣味に限らず「コミュニティ」の真髄と思う。社内でお世話になっている方からも「ナレッジ・エコシステム」として感銘を受けた考え方だけど,アウトプットが人を繋ぐ。インプットはアウトプットのための道具に過ぎない。
蛇足だけど,「どうやったら人はアウトプットを出せるのか」という研究テーマを,新たに今研いでいる最中である。

プラスワンのすすめ

生存戦略のすすめとして,「本来のコンセプトと全く別のこと」を自分の武器とすることを説く。
ホリエモンも『多動力』で同じことを言っているが,異なる領域を「ある程度」かじっていることで自分の市場価値は爆上がりするはず。1つの分野で100人に1人の人材になれて,それを2つ持てば「1万人に1人」。他者との差別化ってまさにこのことで,何も同じ軸で競争する必要はない。そういえば,「戦を略す」と書いて「戦略」と読むんだよな。

当たり前の話だけど,こういう話を聞くと「人間の感覚がlogスケール」というのを思い出してならない。「掛け算」のパワーをついつい忘れてしまうのが人間のもったいないところである。

まとめ

上では随分と抽象的なことばかり書いてしまったが,実はこの本のターゲットは「(会社がつまらないので)会社を辞めようかと悩んでいるサラリーマン」である。
その点,今のところ私は会社で楽しく研究活動できているし会社を辞めたいとは全く思っていないので,そのあたりの記述は私には刺さらず,よって感想は省略した。
実際には「いきなり会社やめてフリーランスになるよりも,まずは副業から始めてみようぜ」「そのためにまずは『生産型の趣味』を形成しようぜ」みたいなことが結構なボリュームを割いて書いてある。そのあたりの話に興味のある人は是非読んでみて欲しい(繰り返すが,1章は正直面白くないので2章までは読んで欲しい)。

そんな内容の本なので,本書のタイトル『明日クビになっても大丈夫!』はちょっとミスリーディングなんじゃないのかなーと思ったり,思わなかったり。
まータイトルは置いておいて,NewsPicks Booksといい,幻冬舎の本はいつも刺激をもらえるので読むのが楽しい。