先日12月10日,大変大きなニュースがあった。
日本いや世界のコンパクトキーボード界で圧倒的な存在感を放つHHKBことHappy Hacking Keyboardの新作(約4年振り!)が彗星の如く登場したのだ。
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ラグジュアリーな打鍵を、あなたに。PFUが開発・発売している高級キーボード「Happy Hacking Keyboar…
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各メディアの熱気溢れるレビューは読んでいるだけで正直よだれが出そうである。
HHKB Lite 2は沼の入り口
ところで以前,こんな記事を書いた。およそ2年前。
どうもukaznilです。 段々仕事にも慣れてきて,それなりに充実した日々を送っています。 ところで唐突で恐縮ですが,職…
- HHKB Professional 2
- HHKBシリーズのデフォルト。2万円くらい。
- HHKB Professoinal Type-S
- HHKBはちょっと音が賑やかなので,静音化する部品を含めたもの。
- HHKB Professional BT
- 待望のBluetooth接続方式版。残念ながらType-Sではないので,タイピング音は無印HHKBと同程度。
また,さすがに2,3万のキーボードを買うのは躊躇われるという人向けに,下記の製品もある。
- HHKB Lite 2
- HHKBシリーズの代名詞である「静電容量無接点方式」ではなく普通のメンブレン構造の,行ってしまえば「安物のHHKB」。でも6000円くらいする。
上記の記事で私が買ったのがコレ。
- HHKBシリーズの代名詞である「静電容量無接点方式」ではなく普通のメンブレン構造の,行ってしまえば「安物のHHKB」。でも6000円くらいする。
でもこの「廉価版」というのが絶妙に廉価版で,キーのタッチ感は全然違うのだけど,なんとなく「HHKBの匂い」を感じ取れる程度には快適なのでタチが悪い(ほめ言葉)。
2年前の私はこんなことを言っていた。
今回購入したHHKBはLite2という廉価版なので,正直本家のHHKBには遠く及ばない打鍵感などだとは理解しています。
ただ,それでもノートPCのうっすいキーボードに慣れてしまった私にとって,この変化はまさにパラダイムシフト。それを実感できただけでも,HHKBというキーボード沼に足を踏み入れた価値はあったのかなと思います。
そんな戯言は2万以上御布施してから言えって? 確かに。
Lite2でも十分満足しているのですが,やっぱり「上」があると思うと我慢できなくなるのがガジェットの嬉しいところでもあり,罪なところ。
気付いたら財布から3諭吉くらい消えているかもしれませんが,とりあえずのHHKBファーストインプレッションはこのあたりにしておきましょう。
さすがに自分のことは自分がよく分かっているというもので,その後間もなく最上位機種・BT版を買ってしまっていたのであった。
BT版の残念なところ
さすが高いだけというか,精魂込めて作ってるだけ合って打ち心地に不満はない。
こういう座高の高いキーボードでは手首が疲れるというので自作のパームレストまでDIYしてしまったので,タイピング生活は快適の一言であった(パームレスト自体はBT版買う前に作った)。
しかし,使い込むに従っていくつかの不満点が出てくる。誤解して欲しくないが不満というのは「改善してくれたらもっと好きになれるのに」という期待の裏返しであって,嫌う理由を言うものではない。すべては愛ゆえに。
調べればBT版の不満点は色んなサイトで言われているのだが,私の環境下(mac)ではだいたいこんなところ。
- Bluetooth接続が結構切れる。Fn-Qで接続回復するときもあるが,どうしようもないときはHHKBの電源を一度落として入れ直すしかない。これは多分中で使っているBluetoothの方式がBluetooth3.0規格を使っているためで,Bluetooth4.0(BLE)ですらないことに起因するのかも。
- たまにチャタる。大体,上記の接続不良とセットで起きるのだが,BT接続が切れる瞬前まで入力していたキーが50字くらい連続入力されてエディタが大変なことになることがある。Backspace入力時に起きた場合は阿鼻叫喚である。
- BT版はBT接続しかできず,有線接続ができない。無線は結局のところ無線なので不安定なことがあってもしょうがないのだが,有線が使えないとなるとバックアップできないのだ。
- 複数台との接続切替が不便。基本的にmacでしか使っていなかったが,たまーにiPadとかでも長文を入力する機会があり,ワンタッチでHHKBの接続先を切り替えられないのは単純に「馬の鞍」として片手落ちじゃないかと思ったこともあった。
そんな感じでエンジニアにとっての最高の武器・エクスカリバーとして重宝されるはずのHHKBが,時と場合によっては竹槍以下になる瞬間があり,耐えられないこともある。嫌いになりたいけど,嫌いになれない。愛とはかくもままならないものなのか。
そんなときに,冒頭のニュースである。
曰く,最高位機種・”HHKB Professional HYBRID Type-S”にはこんな機能が具備されるという。
- 有線接続サポート
- Bluetooth4.2(BLE)採用
- 複数機種との接続切替はワンタッチ(Fn-Ctrl-[0-4])で可能
- BluetoothとType-Sの共存
- 今までのラインナップではBT版とType-S版が別製品となっており,ユーザは苦渋の決断を強いられていた。
私がHHKBに感じていた少しばかりの不安の,その原因をこうも見事に解決するアップデートだなんて。控えめに言って最高である。買わない理由がない。
新型HHKBは沼の底
というわけで,届いた。興奮冷めやらぬ中で書いているため,乱文ご容赦ください。
BT版は箱の墨書きは「BT」だったが,今回は「HYBRID」。筆致は同じ感じで勢いがあり,力強い。
ちなみに上に写っているのはキーボードルーフで,いまは新発売記念でこれがもれなく付いてくるキャンペーンをやっている。
さぁ開封の儀いざゆかん。
見た目は今までと大して変わらない。変わらぬことがいい,そんなことがこの世の中にもまだ残っていることに深い感慨を覚えずにはいられない。
ルーフを被せるとこんな感じ。このルーフ自体は普通に変える既製品だが,実はちょっと前にマイナーアップデートして中央に「HHKB」のロゴが付いた。所有心をくすぐるステキな計らいである。
新旧並べてみた。左がBT版で,右が今回の新作。BT版は紛いなりにも数年使ったとは思えないほど綺麗で,その耐久性や推して知るべしである。なんなら私が死ぬが早いか,HHKBが壊れるが早いかわからないくらいだ。
ちなみに私のHHKBは左Ctrlキーだけ赤無刻印に換装している。墨一色の盤面にひとひらの鮮やかさが目に優しい。青のEscキーキャップもセットで買ったのだが,なんとなくそちらは付けていない。
言わば世代交代の儀式。新型にも赤い花が咲いた。
世代が変わってもその精神は継いでいく。私のHHKBにおいてはその体現を赤のCtrlに仮託し,さながらそれこそ「馬の鞍」のように意思を引き継ぐ。
たかがキーキャップを入れ替えるだけなのに何を言っているんだと思うかもしれないが,私もそう思う。
こうして旧いBT版は眠りについた。また使うことがあるかもしれないが,ひとまずはおやすみ。いままでありがとう。お陰で僕は今まで戦ってこられたよ。
さて,肝心の打ち心地はというと……。言うまでもない。最高だ。
いままでBT版を使っていたということは,つまり「Type-Sではなかった」ということなのだが,Type-Sの打鍵感は本当に病みつきになる。
ネット記事を見る感じだと旧型のType-Sよりも新型のType-Sの打鍵感はちょっとだけ変わっているらしいが,良いものは良い。”S(Slient)”の名に恥じぬほど静音であり,それでいて指に吸い付くような反発からは魂を込めた設計とチューニングを感じる。
完敗だ。そう言いたくなる。
すごいものを作ってくれたなPFU。どうしてくれる。
HHKB,君の瞳に乾杯。
ちなみに,新型HHKBのタイプ音は公式YoutubeでASMR動画があがっている。結構音量が大きくてビックリするかもしれないが,実際に自分の耳で聴くとこれよりもだいぶ音は静かなので安心してほしい。
こんな動画をあげてしまうなんて,PFUは変態しかいないのか?(ほめ言葉)
そういえばASMR動画といえば,先日こんなレビューを見たので勢いで買ってしまったが大変素晴らしいイヤホンである(「えっちなイヤホン」って単語を思いついた声優さんは天才だと思う)。是非これでHHKBタイピング動画を聴いてほしい。
ていうか「動画を聴いてほしい」ってなんだ。
バイノーラルやVR、ASMRに特化したイヤホン「final E500」のレビュー記事です。実際に使ってみての感想や音楽鑑…
順番が前後してしまったがコンセプトムービーもちゃんとある。
さぁ沼の底を掘ろう
BTとType-Sの融合。有線接続のサポート。複数端末との切替。
今までのHHKBシリーズに足りていなかった部分を解決し,まさに満を持して登場した今回のHHKB。言うなればHHKBシリーズの集大成と言える。
逆を言えば,順当な進化はここで一旦終わりなのだろうか,とも思う。HHKBの次の進化がどういう方向に行くのか,とっても楽しみだ。こんなにワクワクするプロダクトを作ってくれたPFUに感謝。せめてこれで一生懸命仕事をするよ。
前回のBT版が出てから約4年。これ以上の進化に幾年がかかるのか知れないが,少なくとも数年は今回のようなブレークスルーはないだろう。それほどの出来だ。
つまり今が買い時。
さぁこっちにおいで。HHKBが全世界に語りかけている。
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