HHKB向けにTrackPad内蔵パームレストを作ってみた

2019年が終わり,2020年。
巷では抱負を滔々と述べるエントリーが溢れているが……,なんということでしょう,私やり損ねました
もう1月も中旬に入ろうかという今のタイミングで「新年」も何もないと思うので,「新年なんて関係ない! いつだって人生で一番若いのは今だ!」という強い気持ちの元(=開き直って),とくに新年らしくなく始めます。

今日のお題は珍しく,DIYについて。

すべてはHHKBから

昨年末,熱にうなされるようにして書いた記事がある。
全エンジニアの武器・キーボードの最高峰たるHHKBことHappy Hacking Keyboardの新作が発表されて,ファーストインプレッションを書いたものだ。

それでも世界はループ!

先日12月10日,大変大きなニュースがあった。 日本いや世界のコンパクトキーボード界で圧倒的な存在感を放つHHKBことH…

この記事中にも書いてあるが,HHKBのような「座高」の高いキーボードを使う際に難しいのが手首の置き場である。座高が2cmくらいあるので,ノートPCと同じ感覚で文字を打っていると,手首が疲れてたまらない。
そのため,キーボード沼の住民たちは「パームレスト」(もしくは「リストレスト」)と呼ばれる緩衝材を手首の下に敷き,最高のキーボードライフを送っていることが多い。

有名処のパームレストは以下のようなもの。

パームレストウッド(クリアー色)PZ-WPHHK2C(バード電子製)
たかが木の板に4000円! と驚くかもしれないが,これはキーボード沼への入湯税のようなもの。必要経費である。

ただ,せっかくだったら木の板くらい自分で作りたいよね,ということで,以前こんなモノを作った。東急ハンズでサクラの木を買ってきてノコギリで切り,半田ごてでウッドバーニングして,塗料を塗って仕上げた。
サクラの木は堅くて切りにくいのだがその分頑丈で,必要以上に重くもない。我ながらいいものを作ったと思っていた。

それでも世界はループ!

どうもukaznilです。 最近のブログの記事がキーボード関係のことばかりで大変恐縮しています。 一応恐縮したつもりでい…

……そう,思っていた。

新型HHKBには並び立つ者がいないといけない

HHKBをノートPCで使う際,恐らく使い方としては以下の2通りがあるのではないだろうか。

  1. ノートPCの上にHHKBを置いて使う,いわゆる「尊師スタイル」のパターン
  2. ノートPCを閉じ,クラムシェルモードで外付けディスプレイを使うパターン

私は家だと1.だが,職場だとディスプレイが複数枚あるので2.の使い方をする。
しかしこの使い方だとmacbookを閉じてしまうので,内蔵のTrackPadが当然ながら使えない。そのためApple公式の外付けMagic TrackPad2を使っている。

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つまり配置としては,ディスプレイの前にHHKBを置き,手前に自作のパームレストを置き,その右脇にMagic TrackPad2を置く。そうせざるを得ないのだが,Magic TrackPad2を触るためにキーボードから手を離すのが大変なストレスなのだ。

macbookでは当然のようにキーボードの手前に内蔵TrackPadが配置されているから非常に快適なのだが,それが外付けの環境だと再現できないことにやるせなさを感じる。
ならばMagic TrackPad2をHHKBの手前に持ってくれば,と思うが,パームレストがそれを許さない。完全に八方塞がりだ。

そんなことはない。
もう一度パームレストを作り直し,Magic TrackPad2を埋め込んでしまえばいいのだ。

折しも時期はお正月。9連休という,実家への帰省と読書だけで過ごすには少々長い休みを有効活用するにも持って来いの題材。
こうして,私の冬休みの自由研究は始まった。

TrackPad内臓パームレスト,作ってみた

そうと決まれば善は急げ。この文脈における「善」は東急ハンズのことを指す。

部材は前回と同じくサクラの木。切ったときの香りがたまらなく好きだ。燻製で「サクラチップ」が使われるのも納得である。
穴を途中で止められないハンズの工作機械の都合上,サクラの木はMagic TrackPad2用の穴を貫通させて,裏面に薄板を貼って底にすることにした。さらに,穴がガバガバになって建て付けが悪くなることを恐れて,数mm小さめに穴を開けてもらい,頑張ってヤスリで穴を広げた。

で,できたのがこれ(着色前)。

着色するとこうなる。
背景と同色化してしまったが,ほどよい艶と落ち着いた色に満足度が高い。

満を持して,Magic TrackPad2を埋め込んでみる。ちなみに個人的な使いやすさを追求して,Magic TrackPad2は奥に行くにつれて沈み込むようになっている(貫通穴の手前側を少し小さめにしてある)。
奥の辺は底板に接地していて,手前も穴の縁に線で接している。穴のサイズもジャストで,がたつきはほぼ無し。実際は製作途中で色々と設計変更があったのだが,結果的によいバランスになった。

……が。
実際にこれでタイピングしてみると,掌の縁がMagic TrackPad2の端っこに当たってしまって誤タップがひどい。Magic TrackPad2はmacbook内蔵のTrackPadよりも大分サイズが大きいので,そのままの感覚で触ると手の可動域と衝突してしまうのだ。

思わぬ誤算だったが,もうパームレストは完成してしまったので,これ以上の処理は難しい。
ということで,Magic TrackPad2にアルミテープを貼ってハードウェア的に無効化することにした(下記の記事を参考にさせていただきました)。

大声では言えないとっておきMacの裏ワザ、隠しワザを教えます。…


この「アルミテープ」方法論は意外とよくて,押せばクリックはできるのだが,触れたくらいで認識はしないという絶妙な塩梅を達成できる。怪我の功名とはこういうことを言うのだと思った。

最後に,裏面に滑り止めを貼る。木が滑らかな分,これがないとタイピング程度の衝撃で前後左右に動いてしまうので,なかなかタイピングに集中できないのだ。

ちなみに使ったのはこの製品だが,これがまた貼ったら全然動かなくなって素敵である……。

完成形がこちら。

もう最高。