読了『あまから人生相談』

2018/08/11読了。

先日から会社の先輩方と一緒に,とあるビジネスコンテストに出場しているのだが,その前振りとして有名講師陣からのレクチャーを受けている。現金な話で申し訳ないが,この講義がまた参加費に比して超有益と周囲ではもっぱらの評判で楽しい&刺激的なのだが,その中で紹介されていた本の一冊を読んでみた。他の本も大量に届いたのだがまだ積んでる。ファミレスのコーヒーと冷房の力を借りて消化中なので,そのうち紹介したい。


さて,ビジネスコンテストで紹介されるのがなんで経済人でもないマツコ・デラックス著の本なのかと疑われるかもしれない。
講義の中で紹介された文脈としては,「この本を読んで『敷衍』を学べ!」ということだった。

ところで「敷衍」,読めるだろうか? さらに言えば,これの対義語は何か,分かるだろうか? デジタル大辞林を引用してみる。

ふ‐えん【敷×衍/布×衍/敷延】
[名](スル)《「衍」はのべる意》
1 おし広げること。
「それを種にして、空想で―した愚痴」〈宇野浩二・蔵の中〉
2 意味・趣旨をおし広げて説明すること。例などをあげて、くわしく説明すること。「教育問題を社会全般に―して論じる」
要は「与えられた要約から想像力を働かせて詳細を説明せよ」ということ。というわけで対義語は「要約」だ(難しい)。

この本は,「寄せられた人生相談をマツコ・デラックスが解決!」という,とあるレディーコミックス上のコーナーを書籍化したものだ。相談内容は多岐に渡り,友人関係とか容姿の悩みとか日常的な悩みレベルのものから,まぁレディーコミックスらしく不倫の話題も結構ある。
ちなみにタイトルは『あまから人生相談』だが,相談内容が基本的に「辛い」内容しかないので由来は「酸いも甘いも噛み分けるマツコ・デラックスが解決する」ことから由来しているのだろうか?

話が逸れたが,この本が先述のビジネスコンテスト講義で紹介されていた理由は「敷衍を学べ」だった。
相談者から寄せられるたった数文の相談内容から,マツコ・デラックスは想像力を働かせてその人の倫理観とか人生観とかを持ち出しながらアドバイスを重ねていく。こういう力が「敷衍」。バラバラに与えられた情報に対して,それを十分に説明可能な軸を持ち出す力。仮説検証とも根を同じくする,研究とも繋がる大きな能力と思う。

例として,「お悩み01」だけ抜粋してみよう(50まである)。

元彼への執着が苦しい。彼の記憶を消す方法は?

結婚二年目の主婦です。私には忘れられない男がいます。
(中略)
最近では,私を捨てた男は,私のことを好きなのに身を引いたのではないか……と妄想するほど病んでいます。どうしたら昔の彼の記憶を消せるでしょうか?

それに対するマツコ・デラックスの回答はこちら。
見てくれに惚れていただけだって,自覚なさい!
さぁ,マツコ・デラックスはどういう敷衍をしてこの結論に至ったのか。
無粋なので(そして私の説明能力の都合上)ここでは詳細を割愛するが,こんな感じで全50編,想像された相談者の○○観に依拠しながら議論展開していく。
「彼女(マツコのことである)の考えを想像しながら本を読んでみぃ」というのが件のコンテスト講義におけるメッセージの1つであった。漫然と本を読むだけでなく,自分を鍛えようとしながら読めよ,そうしないと活かせないからな,というメタな捉え方もできる。

今までこういう類いの本を読んでこなかったが,なかなか参考になった。

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東京大学大学院修士号(情報理工学)取得。企業にて研究職なう。
Androidアプリ開発者6年目。出没地域は映画館,本屋,勉強会。御朱印の集印がマイブーム。思い出深い神社は埼玉県・三峯神社と滋賀県・多賀大社。
最近投資始めた。