8年振りにChromebookを手に入れた!

気づけばもう12月。今年にやり残したことは無いか,買い残したものは無いか,と急かされるような気持ちになることを思うと,師走という和風月名は実によくできた名前だと思う。

さて先日,唐突にChromebookが欲しくなった。
普段はmacで生活していて特に不便もないのだが,「なんでもできるPC」というのは得てして器用貧乏な使い方をしがちである。調べ物,クリプトウォレット諸々,SNS,そして少しばかりの開発環境……。基本的に私はそれらをmac上のワークスペース(仮想デスクトップとも言う?)で区切るようにしていて,調べ物はこっちのスペースで,開発はこっちで……とやることにしている。こういうやり方をすると異種な作業が混ざらなくていいのだが,この小分けされた環境こそが生産性を下げているのではないか,と最近思うようになったのだ。
それぞれのワークスペースにはそれぞれのやりたいことが,そしてそれぞれの作業量の重さに比例した「着手しにくさ」がある。つまり,「やりたいけれど重い作業」(開発とか。ブログ書くのもこっちかもしれない)と「暇つぶし程度の軽作業」(SNSとか)の2つが,ただのワークスペース間のスワイプという同じアクセス負荷で並んでいる。同じアクセス負荷というのがポイントで,意志の力で跳ね返せればいいのだが,どうしたって後者の楽な方へと時間は吸い込まれていく。そうして気づけば,あれ,全然やりたいことできてないじゃん,となるわけだ。ようこそ,ノー生産性ワールドへ!

問題解決の方策に,我慢とか努力みたいな精神力依存のパラメータをなるべく持ち込みたくない。長続きを目指すのならなおさらだ。世の中のかっこいい人達はこれを構造的問題と呼ぶかもしれないが,もう少し弱音を込めれば「過去の自分ができなかったことを未来の自分ができるようになると思うなよ」問題とも取れる。私は,未来の私も私であることに割と自信がある。昔はそれを信じられずに「明日の自分がどうにかしてくれるはず」と思って試験前日の夜に早々と布団に入ったものだが,人はちゃんと成長するのだ。No Pain No Gain,世の中はうまくできている。

というわけで冒頭に戻る。何かのきっかけでふと”Chromebook”の単語を見聞きして,
「あっChromebookほしいな」
「でもChromebookを買うとなにか変わる? いまのmacだけで十分じゃん」
「いやいや,何でもできるはずのmacで本当に何でもできてるか?」
「……確かになぁ」
という自己問答を経て(それが買うことありきで後付けの理由を探したものだとしても),Chromebookを買う運びとなったのだった。シャーペンとボールペンが一緒になったマルチペンは便利だけど,やっぱり単体のボールペンのほうが筆記に適した局面も確かにあるのだ。ということにしよう。ね?

Chromebook今昔

実は私,Chromebookを買うのは今回が初めてではない。昔(2014年),これを買った。全体的に丸っこくて,PCにしてはずいぶんと可愛らしいデザインが好きだった。

ChromebookDB

Chromebookは当時ようやく市中に知られるようになった頃合いで,極東の島国ニッポンでは国産メーカのものすらまだ無かった頃だったと思う。なのでわざわざアメリカから個人輸入してまで手に入れたのだが,当時のChromebookは今思えばあまりにも非力で,本当にブラウジングくらいしかできることはなかった。数ヶ月遊んで以降,ホコリ堆積機として活躍させてしまった私のChromebookに対する認識はその時点で止まっていたのだが,この機会に色々と調べ直して,そのアップデートの様相にびっくりした。

Chromebookの特徴をいくつか挙げていこう。

  1. chromeOSが搭載。軽量OSなので,(winやmacならしんどいであろう)下位クラスのCPU/RAMでも十分きびきび動いてくれる。
  2. LinuxのVMが動く。winにおけるWSL(Windows Subsystem Linux)みたいなものだが,chromeOS自体もUNIX系なので無理がない。制約の多いchromeOSにおいて,Terminalが使えることの意義は大きい。
  3. Androidアプリが動く(必ずしもPC画面に最適化されてるわけではない)。これもまた,chromeOS純正の制約を一歩踏み越えて補完するには十分すぎる特徴。

このうち2と3は,私が以前のChromebookを使っていた頃にはなかったものだ。chromeOS自体はブラウザ上での作業を前提にしているので,Google Chromeの拡張機能やwebアプリで提供されていないサービスはネイティブでは使えないのだが,非常用手段としてAndroidアプリやLinuxが使えるのなら話は別だ。「できない」と「めっちゃ不便だけどできんことはない」の間には,海より深い可能性の断絶がある。

すげーなChromebookと心を新たにして,いろんな製品を調べてみた。今ではFujitsuを筆頭に国産メーカも出てきていて,選択肢は格段に増えている。一方で,高性能CPUを積んだ「さいきょうのChromebook」みたいなものには10万弱の価格がつけられており,もはやそれなりのwin機が買えるのでは? というコメントをあちこちのレビューサイトで見かけた。ここらへんの「Chromebookに何を求めるか?」についての考察はこのサイトが非常に読み応えがあり参考になる。ご興味のある方はぜひどうぞ。

おふぃすかぶ.jp

→「Chromebook」記事一覧 新作・販売情報 国内外のChromebook関連の新作とセール等の販売情報……

私は今回,Chromebookには軽作業をオフロードする予定なので処理性能は求めず,低ランクCPUでもそれなりに動くというChromebookの強みを享受したい。むしろ,ワクワクを掻き立てるような「おもちゃ」性をこそ求めたい。
そうして調べまわるが,グローバル市場におけるChromebookのメーカはhp, acer, ASUS, Lenovo, Dellあたりが盤石の様相。メーカそれぞれに特色はあるが,やっぱり私にとって光るのはhpのChromebookなのだ。過不足のない性能ながら,「低価格PC」らしからぬデザインへのさらりとした配慮が素敵に映る。

hpのラインナップは,一般的なクラムシェル型の”HP Chromebook”,キーボード脱着式の”HP Chromebook x2″,360°回転可能な”HP Chromebook x360″の3つのシリーズがある。

HP Chromebooks are a new type of laptop computer for everyth…

キーボード脱着式はその構造故にキーボードの剛性が弱くタイプ時にキーボードがたわむことがあり,私好みではない。残す2つのうち,「360°回転!」というロマンただ一点でx360を選択。

さらにさらに。
アメリカの直販サイトはシルバーしか載っていないが,カナダサイトには別色の展開もある模様。

Find a great collection of amazing Laptops at HP. Save on Ho…

この青めっちゃよくないっすか。Spruce blueって言うんすか! うっす! 俺買うっす!!
Chromebookに限らず,PCラインナップで黒と白とシルバー以外を出してくれるメーカは世界の宝である。hp……? ああ,神様の名前ね。

さらにさらにさらに。
アメリカAmazonに再生品があった。そのお値段。なんと。$197。えっ。3万円切るの?


新品の価格は$650だった模様。発売開始(2021年7月。たぶん。)から1年半経って,更に再生品だしで,計7割引。買ったァァ!!!

開封の儀ギャラリー

無事到着。
Amazonでは”HP Chromebook x360 14b-cb0023dx”という型番だったが,実際に届いたのは”HP Chromebook x360 14b-cb0020ca”というもの。
仕様はここで確認できる。

見よ,プチプチ越しでもわかる美しさ。

ああ。眩しくて目が焼けてしまいそう。

「機能美」とはUS配列のためにある言葉かもしれない。ほら,スペースキーとぴったり端が揃ったcvbnmが誇らしげな顔してる。
キーのストロークもそれなりに深くて打ちやすい。ただ,キーが筐体から浮いているので,上にHHKBを置く尊師スタイルは難しそう。

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「尊師スタイル」とは - ノートパソコンのキーボードの上にHHKBを置いて使うこと。 リチャード・ストールマン(=尊師)…

Amazonの製品には何も書いていなかったんだけど,hpのタッチペン(定価は$40らしい)が何故か付属。ちょっと嬉しい誤算。ちゃんとした製品版の化粧箱ではなく,しかも破れているというのも愛嬌に見えてくる。
えっ,てことは本体は$150ってことっすか。マジすか。このPC,殺人事件でも起こしたの?

CPUはIntel Pentium Silver N6000,4コア4スレッド。下の上クラスのCPUだと思うが,こうやってブログを書きながら裏でYoutube Musicを流していてもまったくカクつきがない。軽作業においてはmacと同等のレスポンスである。
メモリは8GB,ストレージは128GB。microSDスロットもある。軽作業には必要十分以上のスペックだ。

Chromebookはいいぞ

Chromebookは良くも悪くも「とがった端末」であることは間違いない。できること一覧を○×の星取表で示したなら,見た人すべてが「それwin/macでよくない?」という反応をするであろう,深い業を背負って生まれた存在である。

でも,普段の作業のうちいくつかの軽作業専用端末として使うのなら,そのコスパの良さも相まって,とても優秀なサブ機として機能する。もう一度言うが,この使い勝手の良さで$198ですよ。強がりでも何でもなく,適切な使い方をすれば全く我慢がない。なまじ何でもできる汎用OSでは,この価格でこうはいくまいよ。

メイン機で本来やりたいことに集中するために,他のことの一切を引き受けてくれる,頼れる名脇役。私のChromebookに対する認識はいまのところそんな感じ。
生活をどう彩ってくれるのか,今から楽しみだ。

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