不連続な日常のドアをノックする

  • 2020-05-18
  • 2020-09-17
  • 雑記

実に2ヶ月半ぶりの投稿。

世の中がコロナ一色の中,幸いにも罹患せず粛々とテレワークの毎日。
今日は,死亡リスクもある恐ろしい病気を発症していないことを幸いとしながらも,強烈に影響された生活リズムを起因として更なる幸運として新たに獲得したものもあるという話。

災い転じて福となす。
転んでもただでは起きぬ。
もしくは,やや斜に構えてパンドラの箱。

日常というものは,素直に考えれば一つの平衡状態である。
それは時折,「新しい生活様式」のように不可逆的な相転移を繰り返しながら(生物学的な)進化をしていく。ダーウィン曰く進化は必ずしも改善ではないけれど,その評価をするのは自分自身というのを逆手にとって,その進化を肯定できるようなマインドセットに変えていけば常勝ゲームなのでは,と思ったり,思わなかったり。

夜明けの音を聴く

テレワークも良し悪し。時間の制約がなくなったから自由にはなった分,しっかり自分を律しないと明らかに生産性は落ちる。
リモートワークも1ヶ月を過ぎてマンネリ化してきた頃,そんな危機感から何かを変えられることを期待して,生活の時間軸を普段から2時間ほど早めてみることにした。

4時頃起きて,ゆっくり朝食とコーヒーを摂って,仕事開始。
開始が早い分夕方の充電切れも早くなる(私は昼寝で誤魔化している)けれど,仮に6時から働けば6〜12時のAMと,13〜19時のPMが6時間ずつになりバランスがいい。世に言う「9時5時の定時」にはバランス感が欠けていると常々思っている私である。

「これだけ活動してもまだ6時だ」「AMがまだあと6時間もあるぞ」という謎の万能感の虜になるのは時間がかからなかったが,もう一つ,私を早起きに誘うDriving forceがあった。

夜明けの空気だ。
日が昇るときの美しさとは朝日単体のそれではなく,瞬き一つの度に視界が目まぐるしく変わっていく一日の最大加速度の中に身を置く一人称的な感覚であり,ある意味で刹那の喪失感から得る快感に近いものがある。
夕方でも同じ感覚は得られるのかもしれないが,世界が動き出す時の躍動感(言うなれば静止摩擦力みたいなもの)に敵うものではない気がする。するし,日中は仕事なのでままならないというのも多分にある。

だから多少の無理はしてでも夜明けの瞬間をこの目で見たいと思うから早起きは続くし,家の窓から見る景色・空気と,家の外に飛び出して感じる肌触りには後者に圧倒的なイニシアチブがあるし,天気の悪い日は正直それだけで早起きする気が失せるのも仕方がないと言い訳もしたくなる。
どうせ外に出るなら運動して目を覚まそうという思いつきから最近はもっぱら早起きはランニングとセットだが,間違っても「ランニングのために早起き」なのではない。

4時頃起きて,日によっては朝食を食べてから,散歩がてら近所の公園まで行き2,3km走る。家に帰ってきてシャワーを浴びてから一息ついても,だいたい6時は回らない。

早起きが,好きだ。

バイオリンの呼び鈴

突然だが,私は音楽の素養が全くない。「音楽の」と書いたが,絵も描けないし字も下手だしなので,実質的には文化・芸術の全般に関する素養がないという意味である。

そんな私だが,バイオリンを買ってしまった。
なんて無茶なと自分でも思うのだが,こういう時に私が思い出すことにしているのは知り合いが言っていたとある言葉だ。「人は自分の苦手なモノに憧れを抱かずにはいられない」。分不相応な憧れ,というのは得てして本質的な物言いだということだ。
逆説的に,できないことができるようになる嬉しさは,多分人生の目的の一つなんだと思う。

弦楽器はおろか鍵盤楽器,もっと言えばカラオケ以外に音楽と触れない人生を送ってきた私だが,実はバイオリンに対する憧れがずっとあった。
その中でも大きなきっかけは,下記にもブログを書いた「エストポリス伝記」というゲームのオーケストラ演奏を聴きにいったこと。2016年。

それでも世界はループ!

突然ですが,「エストポリス伝記」もしくは「エストポリス伝記Ⅱ」というゲームに聞き覚えのある人はいるでしょうか。 [foo…

もうね,感動で震えたよね。同時に,この感動の万分の一でも自分で生み出せたらなぁとひどく悔しい思いをしたのも覚えてる。

さらに実はこの演奏会は先日同じ題目で2回目の演奏会があり,(コロナで中止も危ぶまれたけど)参加してきた。


2016年の時もそうだったのだけど,(月並みな言い方だけど)とある演者の方の本当に楽しそうな演奏を目の当たりにして,「これに手を出さないで人生を終えるのは勿体なくないか」と思った。

バイオリン習いに行くかと思ったのも束の間,仕事でバタバタとしてしまっているうちにすっかりコロナの世の中になってしまった。習いに行こうにも外出自粛の折,そんなわけにもいかない。
転機はGW。作業しながらYouTubeでBGMを流していて,たまたまバイオリンの演奏が流れてきた。感動した。あの日の感動を思い出した。
YouTubeにだってレクチャ動画たくさんあるじゃないか。やらない理由を探す暇があるのか? 挑戦を先延ばしにして得られるものが大きくなることはないんやぞ。
そのまま,気付いたらバイオリンの注文ページを探していた。

最初はAmazon/楽天あたりを探していたのだけど,いざページを見つけるとことごとく在庫切れ。コロナ禍の運輸影響か(安価なバイオリンは中国製が多い),本当に無い。「在庫あり」となっているところをようやく見つけ注文するも,数日後に「やっぱり在庫ありませんでした」とお詫びメールを受け取ったのも1度や2度ではない。

最終的に,メルカリで安く譲ってくれる方を見つけ,先週届いた。定価4,5万円のエレキバイオリンのほぼ未使用品だが,ほぼ半額のうえ教本とかのおまけも付けてくれて嬉しい限り。
バイオリン=ブラウンのイメージだったが,思わず目が釘付けになる鮮明な赤色も綺麗でよい。

この週末,意気揚々と試してみたがやっぱり難しい。けれど楽しい。音を鳴らすのもままならないのに,聞こえぬ音にそれでもやはり心は躍るのだ。

「できる」は喜びである。自分のゴキゲンを取るのが人生なのであるからして。

というわけで外出自粛上等である。ばっちこーい!!