2019/01/03読了。
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「刺さるコメント」ができるようになりたくて,Amazonで見つけた本書を購入。非常に刺激的な本で,買ってよかった。
結果的には「刺さるコメント」を目指す本ではなかったけど,予想外のところで収穫が多かった。
もう言われて久しいが情報の海に溺れがちな昨今。しかし裏を返せば,うまく押し寄せる情報の波を御せばそれだけで自分のブランドを上げることができる(恵まれた)状況でもある。だからこそ,『コメントする力』などという本が出版されているとも言える。
著者の竹田圭吾氏は『ニューズウィーク日本版』の編集長を務められた生粋のジャーナリスト。こういう人がどういう目線で「情報」を眺めているのか,というのは単純に非常に興味深い。その上で,「情報に対してはこう気をつけているよ」というアドバイスに満ちている。
まず,まえがきにも書いてあることだが本書の基本的なスタンスは以下のようである。
[aside type=”boader”]
コメントは,準備してストックした材料のなかから必要なものをピックアップして,瞬時に加工して視聴者に差し出す行為です。
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上記に加えて,表紙にも書いてある通り本書は情報を編集 x 発信する技術を語っている。
例によって,エッセンスをいくつかピックアップしてみる。
情報の入り口
情報の絶対量がもはや手につけられないほど溢れているのは事実。昔みたいに新聞のスクラップして情報をストックしておくような方法ではジリ貧であるのは目に見えている。
情報へのアクセスは間違いなく容易になっているのだから,情報への姿勢も「フロー型」に変化させよう。つまり,情報は「収集する」ものではもはやないのだ。代わりに,どんな情報がどこらへんにあったかを記憶しておく。漠然でも大丈夫。人間の長期記憶を侮ってはいけない。
目の当たりにした情報を,下手に分類して全体におけるコンテキストを喪失しないように気をつけながら,「ざっくりと見る」ことが大事だ。
情報を全体の中で見る
「情報の海に溺れる」なんて言い方をするが,人は情報に対して従属する存在であるべきではない。もっと主体的に情報を取捨選択し,コントロールすべき。言わば情報リテラシーそのものである。
そのスタンスを取って初めて,情報を選別する「情報力」と,表現に個性をもたせる「発信力」が体現できる。
「情報を全体の中で見る」のに便利なのが,情報を多次元空間で認識すること。本書の中ではタテ軸,ヨコ軸で語られているが,多分何次元でも問題ない。空間把握能力のある人は3次元空間くらいならきっといけるだろう(私はダメ)。
基本的なタテ軸とヨコ軸は時間軸と地理軸。5年後はどうなるだろう,別の国ではどうだろう――こんな感じでメタに情報を見つめる姿勢が大事。そうやって自分の中に積もった引き出しは,きっとあなたをあなた足らしめる武器としての情報になる。
情報を語る出口
本書の後半はまさに「コメント力」を実現させるための心得集である。他人と差異化し,自分がどういうコメントを求められているのかを把握した上で,蓄積した「情報力」を発揮するためのTIPSが書いてある。
割と各論ぽいので,ここでは代表的な見出しだけ引用する。でもこれだけでもイイタイコトはきっと伝わる気がする。
- 情報はなるべくストーリーで発信せよ
- 刺さるコメントよりも,染み込むコメントを
- たんなる感想であるべからず
- 「何を言うか」の前に,まず「何を言わないか」
- 情報発信の際には,とにかく聞き手を意識する
- タテ軸とヨコ軸を組み合わせて,コメントを広げる
こんな感じだ。他にも見出しは多くあってそれなりにボリューミーだが,興味あればぜひ読んでみてほしい。得るものは間違いなく多いはず!
まとめ
ジャーナリストが語る「情報への向き合い方」として本書を見ると,情報に主体的に相対していたか自信がなくなる。危機感を覚えつつも,そこからの脱却の一つの契機になるだろう良い本だった。
とかくメディアは大衆向けになりがちなので,気をつけないと没個性に陥る。換言すれば大衆操作は簡単なんだろうな。残念だけど,人間はそこまで情報処理には向いていないんだろう。
リテラシーを上げる技術,研究したいなー。
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